月末に有度山トレイル三昧の開催を控えている1月は、時の経つのが早く、あっという間に2月に突入してしまったため、今回は、1月・2月との合併号をお届けします。本務の忙しい中、静岡オリエンテーリングをはじめ、多くの方々の支援により、無事大会を終了することができました。今回のテーマは「古の道、今の道」。静岡を貫く日本の大動脈東海道とその周囲の道をテーマとしました。
静岡市街地の西にある宇津ノ谷峠は、急峻な花沢山塊のため、古代から東海道の難所でした。直達を旨とする古代の道は日本坂峠を通ったものの、往来が一般化する平安期には、より越えやすい宇津ノ谷峠(旧)が拓かれました。伊勢物語で有名な東下りの段でも、宇津ノ谷峠を越える心細さを詠んだ短歌が残されています。その後、戦国時代末期には秀吉の小田原攻めのため現宇津ノ谷峠が拓かれました。明治以後は技術の発展に伴い明治、大正、昭和、平成と4本のトンネルが掘られ、すべて現役稼働。そんな歴史性をテーマにしました。
単体では観光対象にもならないポイントを、地域的に捉え、その歴史性に焦点を当てる。ロゲイニングならではの地域との関わりを、プランナー自身が最も楽しんだイベントでした。
このイベントが終わると、春が一歩近づいたことを実感します。
写真:有度山トレラン、ロゲイング風景
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当法人は、ナヴィゲーションスポーツの普及やアウトドアの安全のために、イベント、講習会の開催や大会への技術サポートを行っています。今後は、以下の行事を開催、協力していきます。また、村越が関係する他団体の行事も掲載しました。
以下のうち「有度山トレイル三昧」ではお手伝いいただけるスタッフの方を募集しています。特にスキル・知識は問いません。
また、お手伝いではなく、運営や指導の勉強をしたい方も実費での参加を歓迎するイベントもあります。お問い合わせください。
暮れは、アジアジュニアユース選手権の支援で香港に滞在、正月早々、タイでは今年末に開催されるアジア選手権の支援で同地に赴きました。香港では、同時に開催されたアジア地区連盟設立会議での議長も務め、どっぷりアジアに浸かった年末年始を過ごしました。
北欧生まれのスポーツであるオリエンテーリングは1980年代くらいまで、北欧勢の支配が続いていました。それが2000年頃からようやく北欧選手以外にも世界チャンピオンになる選手が生まれるようになりましたが、日本を含むアジア地区は世界選手権でもなかなか上位に食い込めない状態が続いています。一方で、アジア地区はヨーロッパに次ぐ国際連盟加盟国を出している地域であると同時に、まだまだ普及が進んでいない地域でもあります。その語源の通り、オリエンテーリングにとってアジアは「今日の出を迎えつつある地域」なのです。
地域内に目を向けると、2008年にアジア選手権が始まりました。その後ジュニアユース選手権も開催され、香港や中国の若い選手も実力を上げています。昨秋の全日本選手権(ロング・ミドル)、正月のスプリントでも見られたように、日本の上位を脅かす走りを見せる選手も現れるようになりました。日本選手から見れば脅威ですが、アジア全体で見れば喜ばしいことでもあります。こうした展開を受け、香港でのアジア会議によって、アジア地区のオリエンテーリング諸国による連盟「アジアオリエンテーリング協会」の開催が決定されたのです。
今年12月には、東南アジアでは初となるアジア選手権がタイで開催されます。大きな国際大会を開催した経験のないタイでの開催は、同国にとっても試練であるとともに、アジア全体の普及・発展の試金石でもあります。私も微力ながら、アジアのオリエンテーリング諸国の「兄貴分」である日本を代表として、タイでの大会開催のサポートをすることになりました。同国での開催が成功すれば、アジアでの更なる普及に弾みがつくことは間違いありません。
12月のタイは、気温が14-28度と、避寒にもオリエンテーリングにも最高の気候です。気候区分でサバナ気候である開催地チェンマイは盆地に位置する古都であり、外国の避寒リゾート地にもなっています。食事はもちろんタイフード!しかも、テレインは過去のアジア選手権の中での1,2を争う好テレイン。東南アジアのオリエンテーリングを盛り立てるためにも、ぜひ皆さんの参加をお待ちしています。オリエンテーリングはマイナースポーツであるが故に、海外への遠征が楽しめたり、草の根の海外交流が楽しめるスポーツです。2024年は、皆さんがナヴィゲーションスポーツ活動の世界を更に広げることを祈念して、新年の話題提供と致します。
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