消防大学校で読図の講師をする機会を与えられたのをいいことに、静岡消防で、司令の部屋を見せてもらった。山岳遭難の時の連絡先は消防である場 合と警察である場合がある。119番すると、ここに連絡が来るのだ。最近はスマホはもちろん、ほとんどの携帯電話にGPSが着いているから、30m程度の誤差で遭難者の位置が分かるはずだ。ところが実際にはそうではないらしい。市街地ですら100mを越える誤差が出る時がある。山岳で は場合によっては3000mもの誤差がある時もあるという。山岳で3000mも誤差があれば、探しだすのに相当な時間がかかるだろう。緊急時には 間に合わないかもしれない。実際、携帯電話で救助要請したものの、発見できずに死亡して後日発見されたというケースは他の都道府県でもある。
誤差が1000mを越えるのはどうしてだろう?教えてもらったのは、多くの場合電池の温存のために、GPS機能をオフにしているからだという。もちろん、受け取った司令ではそれが分かるので、GPSをオンにしてもらうように遭難者に依頼する。だが、ここに落とし穴があって、速やかに GPSをオンにできる遭難者ばかりではないのだそうだ。確かに自分のIpadでもGPSオン/オフの仕方は憶えていない。しろと言われれば、なんとかできるかもしれないが、できる保証がない。まして遭難の状況下ではもっと難しいかもしれない。
今や、携帯やスマホなら、救助者の位置が特定できる、という情報は流布されている。だが、オン/オフの問題があることは意外と知られていないのではないだろうか。使わないに越したことはないが、最後の命綱である道具について、使い方を知らないばかりに機能しないとすれば、リスクマネジメ ントになっていない。
あなたは、自分のスマホのGPSのオン/オフの仕方を知っていますか?