すでにだいぶ前のことになってしまったが、2月中旬に朝霧野外活動センターで講習を受け持った。ナヴィゲーションスキルの重要性を認識したセン ター職員が毎年の野外活動指導者講習会の中で1日以上の時間をかけて、みっちりナヴィゲーションスキルを指導者に伝える場を作ってくれた。登山・ 野外活動、いずれにしてもナヴィゲーションは本来不可欠のスキルであるし、またそのための地図読みができれば、事前に活動エリアのリスクを把握す ることもできる。当たり前のことが、少しづつ広まりつつある。
今年の講習初日はあいにくの雪で、大学生も含む受講者の装備を考えると、外での長い時間の活動は現実的ではなかった。翌日の屋外実技の実施すら 危ぶまれた。でも、雪は雨よりはましだ。むしろ好ましくもある。夜の等高線読みの講習では、屋外の雪をかき集めてブルーシートの上に積み、即席の 山を作った。絵の具で等高線を引くと、地形と等高線の対応がとっても分かりやすい。上から写真を撮ると、水平かつ等間隔に引いた線が、地図の等高 線になっていることがよく分かる。
翌日の屋外実技も、積雪を最大限に利用した。センターの庭にある築山につもったばかりの雪の上で水平に歩いてもらうと、等高線らしきラッセルの 後ができる。体験が知識の定着を促進するとすれば、これ以上の体験もあるまい。定番の地形と地図の対応も、雪がふると、地肌と枝のコントラストが はっきりするので、地形が遠目にも際だって分かりやすいくらいだった。
時には悪天候も悪くないものだ。