ヤマケイの編集部の女の子に地図を教えながら、それを連載記事にする企画が入ってきた。普通の講習でも受講者からのフィードバックはあるが、十分ではない。今回は、彼女が指導の中で学んだことが記事になる。こちらが提供したスキルや技術が、ほとんど地図の読めない初心者にどのように受け入れられていくかを、僕自身が知るいい機会になる。
2/16はその初めての取材で奥武蔵を歩いた。ヤマケイの編集部員というと、山好きをイメージする。確かにその通りなのだが、地図は驚くほど読めない。だからこそ連載の担当に選ばれた訳なのだが、まさに初心者というにふさわしいレベルだった。 記号と等高線の章を予習するように指示しておいた。本文は読んでくれたようだが、記号を憶えてはいない。基本は10個、最終的には30くらいは憶えてほしいというと、「そんなにたくさん!」という顔をする。初心者にとっては、このあたりに最初の関門がありそうだ。講習でも、こちらが基礎的だと思う記号についての質問を意外に受けるからなあ。
「これから歩くルートは尾根・谷?」という質問は、案の定難しかった。「高いところを探して尾根をたどるんですよね」と、原理は分かっているようだが、実際の地形図は複雑で必ずしもピークが分かりやすいとも、近くにあるとも限らない。考えているうちに、混乱してしまった様子。
仕方ない。まずは地図に尾根・谷線を描いてもらおう。別紙に尾根・谷を描いてもらうと、一応描ける。今いるところが尾根か谷かは判断できた。描き込みのない地図で、それを判断するのは難しいようだ。ここももう一つの関門だろう。
彼女にとっても僕にとっても前途多難。それは同時に彼女にとっても僕にとっても成長の機会であることを意味する。