コラム52 広がる読図講習会

昨日2月17日は、大学の公開セミナー「安心登山のための読図講習」に参加した山の会のメンバーから依頼され、その会のためのプライベートな読図講習会を行った。屋内で90分ほど基礎を確認した後は、いつもの講習よりはハイキングに近い形で、約7kmの里山を歩きながら地形読み取りで注目すべき点や、現在地把握の考え方などの講習を行った。参加者が当初の予定より2名減の12人というのもよかったようだ。1:6のガイドレシオで、かなり丁寧な講習ができた。山の会の方だけあって、普段もある程度の意識はしているせいかもしれない。「2回目で、前よりも随分読めるようになりました」という感想も聞かれた。テニスの講習会に出て1日で乱打ができるようになることを期待する人はいないだろう。ある程度繰り返しが重要であることと、それに対応できる講習システムの充実の必要性を感じた。

 

この日は、新潟でも同趣旨の講習会が行われていた。比較的登山者の多い三条にいるオリエンテーリング愛好者のFさんが、私が日頃唱えている「日本人の地図読みを変える」という趣旨に賛同し、またオリエンテーリング界が持っている知的資産であるナヴィゲーション技術を広めたいという希望もあって、開催にいたった。地元新聞に掲載されたところ、20名の定員はあっという間に埋まり、14名にお断りをし、次回の開催を決めたという。講習は結局21名の参加があったが、そのうち17名が次回の情報連絡を希望し、参加料(2000円)、講習時間(6時間)とも適切であり、また概ね満足あるいは、予想以上という評価も得たようだ。

 

自分でナヴィゲーションできるスキルに、ちょっとした指導のノウハウや伝達すべき知識・スキルの整理を行えば、読図講習会を開催することは可能である。こうした動きが広がることで、山岳遭難から道迷いのパーセンテージが大きく減少することを期待したい。

 

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