新垣さんという研究仲間によれば、日本は方向オンチに対する関心の非常に高い国だという。「方向オンチ」だということは目的地にうまく到達できないこと。これは仕事の中では重大な能力の欠如ですらある。なのに「私方向オンチなんです」といったことが、開けっぴろげに語られるのは日本的な現象なのだ。
マスコミでも、方向オンチは比較的取り上げられやすいテーマである。テレビでも3年にいっぺんくらい「ブーム」があり、2、3ヶ月の間に数局で方向オンチ番組が連続するということもよくある。ある局の取材で方向オンチの人の町歩きにつきあっている途中抜け出して、別の局の収録を受けたということもある。ある出版社からは、「方向オンチの直し方」という本の執筆依頼を受けた。ちょっと体調的にも気分的にもノッていない時期だったこともあって、この企画は結局断った。だいたい身体の感覚の問題ではないので「直す」ようなものではないのだ。むしろ禁煙やダイエットなど習慣形成に近い問題である。
先週は「女性セブン」からの取材を受けた。行楽シーズンに「こうすれば迷いにくくなります!」というスタンスの記事だという。僕と先述した新垣さんがインタビューを受けた。わざわざ買うというよりも美容室あたりで暇つぶしに読む印象のある雑誌だけに、こんな記事で読者が興味を持ってくれるのだろうかというくらいのまともな草稿の仕上がりだった。
11月15日(木)発売である。