仕事がら、あるいはオリエンテーリングの元チャンピオンという立場上「迷うことなんかないんですよね」とよく言われる。そういう場合は「地図があればね」と答えて、地図も持たずに学生のコンパ会場に出かけていって(しかも、店の名前もうろ覚えだった)、見つけられずに、仕方なくケーキを買ってきて家で食べた話などをする。実際、他にも目的地になかなかつけなかった迷い体験を持っている。いずれも地図を持たずに絨毯爆撃的に目的地を探す羽目に陥っている。
先日(6月22日)に名古屋にいった際、地図を持っていたにもかかわらず迷ってしまった。もっとも地図といってもデフォルメのきつい案内図だ。まず名古屋駅の西口を出たところから地図が怪しかった。目印にされているA薬局が出ていない。地図には駅の端のさらに一本南側の道を入るように書いてあるが、駅の端というのはホームの端なのか、駅前のロータリーの端なのか、イラスト化された地図では判然としない。大通りらしい名前も書いてあるが、そちらにいくと遠回りだし、第一、名古屋に詳しくない私は、通りの名称が出てなければアウトだ。
不安を感じながらも、その通りだろうと思われる通りを進むが、それに沿ってランドマークが一つも記されていないので、十字路は数えて進むが、合っているのか合っていないのか、全く確信が持てない。道の方向が斜めになったところで、さすがに行き過ぎだろうとは思うが、途中にそれらしいホテルは発見できず、仕方なく、大通りに出る。その通り沿いの少し離れた場所にあるランドマークを確認し、そこから順を追って十字路を地図と対応させ、ようやく自分の居場所が分かった。
これからは「正しい地図があればね」と修飾語を加えねばなるまい。それにしても、こういうガイドマップがまだまだ多いのは残念なことである。