富士山アウトドアマップの製作を始めた。8年ほど前から持っていた構想の一つだ。当時、静岡県で開かれた自然公園大会のワーキンググループで、参加者へのお土産について、県庁の担当者から意見を求められた。その時提案したのが、富士山アウトドアマップだった。当時は昭文社、ニッチ、山と渓谷社の3社から富士山周辺の登山地図が出ていた(現在は昭文社だけ)。しかし、いずれも登山に特化した地図で、登山道は描いてあるが、それ以上のアウトドア資源情報は皆無に近かった。その物足りなさは、自分自身が富士山麓で活動する中で感じていた。
ノルウェーには、ハイキングルートだけでなく、アウトドア資源が掲載された優れたアウトドアマップがある。登るだけでない富士山周辺の魅力は、オリエンテーリングをしているとわかる。富士山麓にあるさまざまなアウトドア資源をもれなく記載し、なおかつその地図だけでそれぞれの場所に到達する、文字通りの地図と言える地図が作れないだろうか?そうすれば、活動者が、よりよく地域を使い込むことができる。それがアウトドアマップのそもそもの出発点であった。そのアイデアは、無償で参加者に配布されるガイドブックとして結実した。しかし、限られた時間と予算の中で、内容的には不満足なものに終わっていた。いつか作ってやろう、と思い続けてきたものだ。
1:25,000地形図にして12枚にわたる、約500平方キロに及ぶ地図。数字を見ると広いとも言えるし、これまで南麓に作られたオリエンテーリング用地図が覆っている範囲を考えると、たいした広さではないとも言える。 「マップル」や「リンクリンク」の登場で、市街地や郊外での地図はかなり成熟した。一方、アウトドアではまだ未成熟な状態である。そんな地図の状況とアウトドア界に一石を投じることができたら、と思う。