コラム20 地図を見る様々な視点

3月半ばの週には、プロジェクトマネージメント学会で講演を依頼されたり、恩師の定年退官お祝いなど、あちこちにでかけ、様々な人と情報交換する機会を得た。自分自身、地図やナヴィゲーションについてはいろいろな視点で見ているつもりでいたが、人とおしゃべりをしていると、地図に対するもっと多様な視点があることに、あらためて気づかされる。

 

学会の後にデートした20年来の知人は、地図とナヴィゲーションに関するNPOを立ち上げたのだと言うと、「それは絶対発展するわよ。環境教育だって情緒的な面が先行しているけれど、それを客観的に進めるには絶対地図表現って必要でしょ」という。彼女は最近、絵を習っているということで、しきりに地図が描けることと絵が描けることの異同を気にしていた。僕らは与えられた山の姿を等高線で正確に描くことができる。画家はやはり正確にだが、異なったやり方で山の姿を描くことができる。両者は山容を正しく把握しているという意味では同等で、表現方法が異なるだけなのだろうか。だとすれば、両者はある抽象的なレベルで共通の表象を持っていると言えるのだろうか。

 

有用性という視点では、Mnopの会員でもある山本さんの提案も参考になった。「レストランのガイドマップってあるじゃないですか。でも中にはいい加減なものも多い。いい加減な地図でうまくいけなかったら、それだけでその店が嫌になっちゃうこともありますよね、特に女の子とデートの時なんか。ウェッブにでているガイドマップを評価してあげて、『こんなわかりやすい地図ができますよ』なんていうの、ビジネスになりませんか。」ガイドマップのいい加減さは、前にコラムで紹介したこともあるが、確かにそれでお客を逃しているレストランは決して少なくないだろう。なるほど、こんなところにもビジネスチャンスがあったのだ。

 

チャンスと言えば、恩師の退官お祝いで会った先輩も、「JR東日本は、大規模な駅を抱えているので、そこでいかにわかりやすい構内情報を提供するかに興味を持っているし、そういう視点の研究助成もしているみたいですよ。」と教えてくれた。地図と社会の接点について、まだまだ学ぶべき点が多いのだと知らされた一週間だった。

NPO法人Map, Navigation and Orienteering Promotion

 オリエンテーリング世界選手権の日本代表経験者、アウトドア関係者らが、アウトドア活動に欠かせない地図・ナヴィゲーション技術の普及、アウトドアの安全のために設立したNPO法人です。

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