コラム5 あきれたガイドマップ

赤で描かれた右側の丸の位置は、本当は黄色で描かれた場所でなければならない
赤で描かれた右側の丸の位置は、本当は黄色で描かれた場所でなければならない

夏休みの最後の週に、大学の体育の実習で清水市にある海洋センターに出向いた。そこには清水市の観光スポットのガイドマップが2種類ほど置いてあった。それなりにお金をかけて作られたと思われる4つ折のデザインで、無料のガイドマップにもある程度はお金をかけるようになったことは評価できる。しかし、眺めてみて唖然とした。表紙には清水の海岸地区の概念図が描かれており、折り込まれた面に2地区の詳細図が描かれている。概念図に詳細図の位置が赤い囲みで示されているのだが、それが全く違う場所なのだ。詳細図で描かれた部分は、静岡市との境にある日本平の海側、久能の海岸(いちご狩で有名)なのだが、囲みが描かれているのは、折戸湾(三保半島の内海)に沿った場所なのだ。

 

完全に間違ったケースは少ないものの、静岡で発行される飲食店のガイドブックには地図がデフォルメされすぎて、正確に店の場所が分からないものが散見される。だいぶ前の研究になるが、空間認知研究者の加藤義信さんの研究室の卒論で、ガイドマップで店に到達できるかを調べたものがある。それによると、山本千華さんの卒論では、名古屋市街地及びその近郊についての4つの情報誌の18店舗に対して、複数の情報誌を利用してその店を探索したところ、18店舗中迷わずいけたのは4店舗のみで、1/6にあたる3店舗がだいぶ迷ったり、いけなかったりしている。同じような傾向は、やはり加藤さんのところの卒論生の近藤万友美さんの調査でも得られている。

 

地図のデザインはかなりよくなった。内容の取捨選択、正確さという点では、まだ改善の余地がありそうだ。

 

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